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Preface
UNIQLOCKはセンスよくてスカしてるが、UNIQLOのチラシはダサい、という事象について考える。ブランド・イメージ衝突問題と呼んでおこう。これはブランド・マネジメントの観点からいって、まだまだ改善の余地がありそうだから、そこに有効な提言をすることを本稿の目的とする。結論としては、アパレル・ブランドとしてのUNIQLOと、店舗のブランドを切り離すことが、ブランド・マネジメントの観点だけからは、一つの有効な方策になりうることを示す。
Discussion
さて、この衝突問題を掘り下げて考えるうえで、他の事例との比較で考えてみようか。じゃあ同じようにブランドはスカしてるがチラシがダサい例を探してみよう。
SONY BRAVIAはスカしてるが、それを売ってるビックやヨドバシのチラシはダサい。
Apple iPodはイカしたブランドだが、やはり家電量販店のチラシはダサい。
では、BRAVIAやiPodが、それらのチラシによってブランドを毀損されているか? んなこたない。
え? ソニーやアップルと家電量販店は別の会社であり、UNIQLOブランドとUNIQLO店舗は同じだって?
そう、まさにそれが問題の本質なのだ。
つまり、製造小売業(SPA)という業態に絡んでくるのだが、店舗の役割は何か?
※ここでは店舗の役割を3つに分けてみよう。サプライ・チェーン管理(SCM)面、ブランド面、それ以外。本稿ではブランド面だけに注目する。
UNIQLO店舗は、UNIQLOブランド・イメージの強化に役立つブランド体験を顧客に提供できているか? ほとんど、できてないでしょ。店員の着こなしとかアドバイスとか表情とか働きぶりにUNIQLOブランドを感じたりする? しないでしょ?
Apple Storeと比べてみればいい。Apple StoreはAppleブランド旗艦店の機能を果たしているだろう。Apple Storeはダサいチラシを撒いたりしない。メルアド登録したら素敵なDMが届く。店員はApple製品に惚れ込んでいて、周辺機器の知識もある。
ビックやヨドバシのダサい(けど売れる)チラシにiPodが載ってて、それで始めてiPodを知る人がいたとしても、あまり問題がないだろう。それは数と質の面で。そういう人は少ないだろうし(数の観点)、そうだとしても、のちにiPodの広告やリアル店舗体験できれいに上書きされる程度の弱いイメージしかチラシは与えないだろう(質の観点)。
つまり、見込客層ほぼ全員にとって、iPodというブランドとの実質的な最初の最初の出会いは、あの広告だったりショップだったりするわけだ。メディア(パブ)やクチコミかもしれない。そこでいったん良いブランド・イメージを持った人が、実際はヨドバシで安く購入したとしても、その人にとってのiPodブランドはそんなに毀損しないはず。実際、Apple Storeで触って試して、ヨドバシで買う人は少なくないはずだし、そういう客がロイヤル・カスタマーではないか、というと、そんなことはない。もちろん「絶対Apple Storeでしか買わない」という信者にはかなわないにしても。
これはAppleがSPA型の垂直統合的な流通方式をとっておらず、柔軟なSCMを展開する利点でもある(というか、もともとメーカーの流通はそうなのであって、SPAという形態が比較的新しい特殊形なのだ)。本来は購買体験もブランド構築に繋がる機会だ。しかし、Appleがドンキの店員の接客に口出しする権限はない。一方で、だからこそ我々はドンキでiPodを買うときに、店員がどんなにイケてなくても、「ここはドンキだから」と割り切って、Apple iPodブランドとは切り離して受けとめるだろう。つまり店舗がAppleやiPodのブランドを冠していないので、そこでの悪い購買体験もApple iPodブランドに致命的なダメージを与えることはあまりないのだ。
これが製品(Product)とチャネル(Place)のブランドを切り離した状態だ。
一方のUNIQLO店舗(Place)はどうか? 店舗で良い体験を与えてくれないだけではない。もしUNIQLO店舗で悪い体験をしたら、アパレル・ブランドであるUNIQLOのイメージも悪くなる。これはアパレル・ライン(Product)と店舗(Place)のブランドが強く結びついていることの負の面だ。今回問題にしているダサいチラシだって、まさにそういうことだ。とはいえ、店舗にとっては死活問題であり、売れる(がダサい)チラシを止めるわけにはいかない。(だから社長マターなんだろう)
ここにブランド・イメージ衝突問題の原因があるということだ。
Source: nakano